建材に廃プラ・アルミ、LIXILが再生材で攻勢かける
CO2削減認証取得、差別化
LIXILは建材で使用するリサイクル素材の開発に力を注いでいる。廃プラスチックに廃木材を混ぜて新たな素材を開発したほか、10月にはリサイクルアルミニウムを100%用いたアルミ形材を市場投入する。企業にサプライチェーン(供給網)全体の温室効果ガス(GHG)排出量削減が求められる中、環境に配慮した建材でエンボディド・カーボン(建築時の総排出二酸化炭素〈CO2〉)が低減できることを訴求し、他社との差別化を図る。(田中薫)
LIXILは10月1日に、リサイクルアルミ100%のビレット(中間材)を使用したアルミ形材「PremiAL(プレミアル) R100」の受注を始める。アルミ形材はサッシや車両部品などさまざまな分野で使用される。リサイクルアルミを使用することで新地金製錬時の電力を抑え、従来品と品質は同等ながらCO2排出量を97%削減する。同社ではリサイクルアルミ100%のビレットの量産技術を確立した。
今回、サステナブル経営推進機構が認証する「エコリーフ」環境ラベルを取得。これにより顧客はプレミアルR100を使用した場合、従来品に比べ原材料調達・輸送・生産にかかるCO2量を約75%削減したことを示すことができる。同社はこれまでもリサイクルアルミを一部用いた製品を展開しており、2030年度にはリサイクルアルミの使用比率を100%にする目標を掲げている。プレミアルは認証を取得したブランドとして差別化して展開する方針。
また、1月には再資源化が困難だった複合プラスチックと、建築物の解体時に出る廃木材を細かく粉砕して混ぜた新素材「revia(レビア)」の取り扱いを開始した。レビア1トン分の製造過程で発生するCO2量は、同量製造時に使用する原材料を焼却処分した場合に発生するCO2量に比べ約82%削減できる。
第1弾は舗装材として発売したが、今後はビル建材や住宅向け建材にも展開する。付加価値を訴求して拡販し、30年度には年間で売上高1000億円を目指している。
YKK APや文化シヤッターもリサイクル材を用いたウッドデッキなどを展開しているが、LIXILの素材開発はその汎用性の高さとリサイクル材を安定調達できる独自ルートを確保している点が特徴だ。同社の研究施設であるLHT技術研究所の山崎弘之所長は「各社同じ材料で製品を差異化するには限度がある」と、素材そのものを開発する重要性を訴える。
同社は2月に高意匠を売りにした炭素繊維強化プラスチック(CFRP)を用いた住宅向け建材ブランドの展開も始めたが、鉄やアルミの使用量を減らせる環境配慮の価値訴求も欠かさない。「どのような商品でも環境については考えなければいけない」(山崎所長)と、建材のさらなる環境負荷低減に努めていく。