日常生活になじむ災害対策製品、住設メーカーがあの手この手
9月1日は防災の日。地震のみならず、大水や台風など災害の激甚化が進み、防災・減災の重要性が高まっている。文化シヤッター、タカラスタンダード、YKK APなど建材、住宅設備機器各社は、災害対策に加えて、日常の生活になじみ、使い勝手を損なわないような高付加価値な製品開発に力を注いでいる。(田中薫)
2018年の北海道胆振東部地震や19年の台風15号では大規模な停電が長期間続いた。文化シヤッターは停電時でも電動シャッターを駆動できる電源供給システム「プラグインパワーユニット」を発売した。電動シャッターの電力回路に組み込むことで市販のポータブル電源や電気自動車(EV)の車載コンセントから電力を供給でき、通常通り電動でシャッターを開閉できる。
これまでもシャッターの内側からは手動で開閉できたが、シャッター以外の出入り口がなく外から開ける場合は専門業者でないと開けられず、「大規模災害時には要請の件数が増加し、すぐに駆け付けられないこともあった」(商品開発部の小林諒平氏)。屋外に設置することで1人でも簡単に開閉できる。後付けも可能で、「一般住宅や小型店舗から引き合いが増加している」(同)という。
タカラスタンダードはシステムバスの地震対策に取り組む。亜鉛メッキ鋼板の枠組みによって「面」で支え、震度6強の地震にも耐えられる構造「耐震バス」を開発し、全てのシステムバスに導入した。通常は6―7本の支柱で底面を支える構造が多く、地震時の耐久性を高めている。
また、丈夫で汚れの付きにくいホーローの活用を進めている。水害の際にシステムバスのホーロー製壁面パネルの表面の汚れを水で流すだけで、再度組み立て使用できた事例もあるという。
YKK APは北陸など雪の多い地域で使われる耐雪カーポートのデザインを一新、「ジーポートプロ」として全国販売した。住宅になじむ意匠でありながら、最大で3メートルの積雪、毎秒62メートルの強風に耐えられる。都心部では過剰性能と言われる強度だが、千葉県で毎秒50メートル以上の風速を記録した19年の台風15号を契機に、積雪だけでなくひょうや強風にも耐える性能を求める声が高まった。支柱を補強し揺れを6割減らせる耐震オプションもあり、カーポートが揺れて住宅の外壁を傷つけるリスクを減らせる。