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スマホで保線業務を効率化、JR西日本が列車動揺判定システム開発

JR西日本はデジタル技術の活用による線路保守の高度化を進める。スマートフォンの基本機能を活用して自社開発した列車動揺判定システム(写真)で保線業務を効率化するとともに、同システムでの線路劣化予測や線路周辺設備の自動検出機能の開発を目指す。

多様な機能を搭載した汎用なIoT(モノのインターネット)デバイスなどを活用し、点検作業のコスト低減や簡素化を狙いに同システムを開発した。スマホを列車の先頭部に取り付け、前頭映像や列車の加速度、全地球測位システム(GPS)情報を記録し、クラウドにアップロードする。解析データはパソコンやタブレットなどで確認できる。

あらかじめ設定した数値を超えた箇所のマッピング機能がある。また列車の動揺の大きさをグラフ表示することで保守が必要な箇所を把握しやすい。これらの機能を活用すれば効率よい線路保守につながるため、導入線区を徐々に増やす。

現在は、軌道検測車に列車動揺測定装置を搭載して定量的に線路の歪みなどを測定していることが多い。鉄道車両に搭載するため重厚な構成の装置な上、機能も対象とする点検に特化した専用装置になっている。画像撮影装置での状態判定と合わせて、手間と時間がかかっている。

また線路の安全確保のための点検は徒歩巡回や列車での巡視などで行う場合もある。労力がかかり、線路状態の定量把握が課題だ。

今後は、同システムを用いて高頻度での動揺判定による長期的な線路の劣化予測技術の確立を目指す。地方の私鉄など鉄道事業者への外販も進め、メンテナンス効率化による収益性向上という鉄道業界全体の課題解決につなげる方針。

日刊工業新聞 2023年12月28日

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