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クリーン燃料でガラス製造…AGCが実証、実用化への課題は?

クリーン燃料でガラス製造…AGCが実証、実用化への課題は?

AGC横浜テクニカルセンターではアンモニアを燃料にしたガラス製造の実証試験が行われた

AGCがクリーン燃料を用いたガラス製造の実証を進めている。6月にAGC横浜テクニカルセンター(横浜市鶴見区)でアンモニアを燃料に、9月には水素を燃料に関西工場高砂事業所(兵庫県高砂市)でのガラス製造実証に成功した。同社直接排出量(スコープ1)の過半はガラスの溶解に由来する中、温室効果ガス(GHG)削減に寄与する技術開発を加速し、2050年にはスコープ1・2でカーボン・ネットゼロ実現を図る方針だ。(狐塚真子)

「50年に向けては電化を中心に、クリーン燃料など複数の技術を最適に組み合わせて目標達成を狙う。今はその手札を揃える段階だ」(先端基盤研究所CN技術・戦略室の白井正信マネージャー)。AGCは世界でガラス生産を行う中、地域特性や時期に合わせて最適な削減施策を選ぶ戦略を示している。

スコープ1の過半を占めるガラス溶解では、原料の化学反応による二酸化炭素(CO2)も発生するが、燃料の燃焼による割合が大きい。こうした中、同社はアンモニアや水素をエネルギー源として活用することも視野に入れている。乗り越えるべきは、窒素酸化物(NOx)排出量の抑制だ。

アンモニアは窒素を含むほか、急激な温度上昇で燃焼用に供給する酸素に含まれる窒素が酸化し、NOxが発生することが懸念される。そのため両実証では、火炎温度の急激な上昇を防ぐ多段燃焼を可能にするバーナーを活用。NOxの抑制効果やガラスの品質などへの影響を検証した。

実証に向けてアンモニアを貯蔵できるタンクも整備(AGC横浜テクニカルセンター)

アンモニア燃焼実証は、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)のプロジェクトとして実施。小規模な200キロワット級バーナーでの燃焼を行ったが、今後1メガワット級バーナーへスケールアップする予定だ。

「当社の他拠点には異なる燃焼方法をとり、空間の組成が異なる溶解炉もある。これら別タイプのガラス溶解炉への適用性評価も進める」(白井マネージャー)のと並行し、26年以降の展開を目指す。水素燃焼では24年以降、数倍をめどにバーナーのスケールアップに向けた実証も計画している。

一方で課題もある。フロート窯は24時間365日稼働する必要があるため、クリーンエネルギーの本格利用には安定的な供給体制が不可欠だ。同社は他産業でも水素やアンモニアなどを活用したプロジェクトや実証が進んでいることを踏まえ、こうした取り組みと歩調を合わせながら実装の実現性や時期を見極める方針だ。

日刊工業新聞 2023年12月25日

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