ニュースイッチ

AGCが確立、車載用全固体電池向け材料で生産新技術の中身

AGCが確立、車載用全固体電池向け材料で生産新技術の中身

新たな生産技術で作成したアルジロダイト型硫化物固体電解質

AGCは6日、車載用全固体電池に使われる硫化物固体電解質の新たな生産技術として、ガラスと化学の技術を融合させた独自の溶融法を確立し、AGC横浜テクニカルセンター(横浜市鶴見区)のパイロットラインでの技術実証に成功したと発表した。今後生産プロセスや品質の改善を進める。2027―28年をめどに事業を始め、30年に年間100億円の売り上げを目指す。

AGCは独自の溶解炉を開発。ガラスの量産技術を基に、さまざまな原料を均質に溶かし、その融液を冷却することで高品質な硫化物固体電解質を効率的に生産する方法を開発した。同手法では、リチウムイオン電池(LiB)からリサイクルされた原料の利用も容易になるとみる。

硫化物固体電解質はイオン伝導率が高く、自動車の航続距離延長や充電時間の短縮を実現するため、車載用全固体電池の材料として有力視される。一方、従来行われている電解質合成法では、一度に取り扱える量に限界があり、反応に時間を要することから、量産体制の確立が課題だった。また均質性不足や不純物の影響で、電解質の性能改善にも限界があった。


【関連記事】 EV普及へコストを下げられない企業は市場追放!電池材料メーカー“最後の戦い”
日刊工業新聞 2023年09月07日

編集部のおすすめ