核融合で成果…2023年に注目を集めた「テクノロジー」記事3選
ニュースイッチでは「核融合」や「量子コンピューター」など最先端テクノロジーに関するニュースを積極的に配信しています。その中で2023年に特に反響をいただいた記事3選を紹介します。
世界初「軽水素とホウ素による核融合実験」に成功、スタートアップが描く未来
3月、自然科学研究機構核融合科学研究所(岐阜県土岐市)と米国の核融合スタートアップ「TAEテクノロジーズ」(TAE、カリフォルニア州)は共同で、軽水素とホウ素による核融合実験に世界で初めて成功した。軽水素とホウ素による核融合は、重水素と三重水素を使った一般的な核融合に比べて反応条件は厳しいが、放射線である中性子が発生しない点で優れる。今回の成果について、TAEの最高科学責任者(CSO)でカリフォルニア大学教授の田島俊樹氏は「軽水素とホウ素による核融合実現の入り口に立った」と力説する。(公開日:2023年5月7日)
量子コンピューター超えの計算能力…東京理科大が開発した「LSIシステム」がスゴイ
東京理科大学の河原尊之教授らの研究チームは、回路線幅22ナノメートル(ナノは10億分の1)の相補型金属酸化膜半導体(CMOS)を使い、現在の量子コンピューターを超える計算能力を持つ大規模集積回路(LSI)システムを開発した。創薬や材料開発などに生かせる「組み合わせ最適化問題」を低消費電力かつ高速に解く。複数のチップを並列動作させることで機能を拡張し、大型の設備が必要なクラウドサービスを使わずに大規模な計算を可能にする。(公開日:2023年11月25日)
「ネオジム磁石」発明者が語る40年以上も“最強の座”に君臨する理由
本田財団(東京都中央区)は、2023年度の「本田賞」にネオジム磁石を発明した佐川眞人博士(NDFEB〈京都市西京区〉社長、大同特殊鋼顧問)とジョン・J・クロート博士(元米ゼネラル・モーターズ〈GM〉デルコ・レミー部門マグネクエンチ常務取締役、元ジョン・クロートコンサルティング代表)を選んだ。ネオジム磁石は1982年の発明から40年以上、最強の座に君臨している。この間にネオジム磁石が最強であるメカニズムが解明され、産業界には他の選択肢はないという声さえある。磁石研究者にとっては挑戦と挫折の40年だった。次の磁石研究の方向性を聞いた。(公開日:2023年11月26日)