フォトマスク不要の半導体装置、ウシオ電機が開発へ
米アプライドマテリアルズと共同
ガラス基板にも対応
ウシオ電機は半導体製造装置最大手の米アプライドマテリアルズと共同で、フォトマスク(半導体回路の原版)を必要としないデジタルリソグラフィー技術(DLT)を採用した半導体製造装置を開発する。先端半導体パッケージ市場での採用を想定。本格的な装置の投入時期は明らかにしていないが、量産に対応した装置を既に複数の顧客に出荷しているという。
主にアプライドが持つ技術をウシオ電機に提供し、ウシオ電機は装置の製造や販売、保守点検などを手がける方針。アプライドのグループバイスプレジデント、スンダー・ラマムルティ氏は「顧客が必要とするソリューションの提供を加速する」と語った。
両社が共同で市場投入するDLT装置は、インターポーザーや半導体パッケージ基板に配線を描くのに使う。インターポーザーは平面に並べた複数の半導体チップとパッケージ基板をつないだり、DRAMチップを積層した広帯域メモリー(HBM)とプロセッサーを接続したりするための中継部材。インターポーザー、パッケージ基板ともに3次元(3D)実装技術の進展などを背景に重要性が高まっている。
インターポーザーやパッケージ基板の材料には樹脂やシリコンが使われるが、熱や反りに強く大型化にも対応しやすいガラスを基にしたタイプへの置き換えを検討する動きもある。今回のDLTは多層ガラス基板の露光に用いる直接描画装置を応用した製品とみられ、両社はガラスへの置き換えが進んでも対応可能な体制を整える。
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日刊工業新聞 2023年12月18日