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ウシオ電機が東芝ライテックと協業、ウイルス抑制する紫外線の利用を増やしたい!

第1弾は来年1月発売へ。クルマ・鉄道・ドローンにも
ウシオ電機が東芝ライテックと協業、ウイルス抑制する紫外線の利用を増やしたい!

シェアリンカーの車内での活用イメージ(東芝ライテック提供)

ウシオ電機は26日、殺菌・ウイルス不活化効果があり人体に優しい波長222ナノメートル(ナノは10億分の1)の紫外線(UV)を用いたUV除菌・ウイルス抑制装置開発で、東芝ライテック(神奈川県横須賀市)と協業すると発表した。車や鉄道での新型コロナウイルス感染症対策に役立てる。一般照明器具の開発でも協力。2021年1月に天井などに設置できる製品の発売を目指す。

222ナノメートルのUVは、人体に直接照射しても目や皮膚に悪影響を及ぼさない。ウシオ電機が開発したモジュールを照明器具に組み込むことで、有人環境の安全かつ効率的な細菌・ウイルス対策ができる。同社によると、新型コロナウイルスへの効果に関する論文が近日中に公開予定。施設用の照明器具や自動車用ランプで高いシェアを持つ東芝ライテックの知見や販路を生かして普及を図る。まずは公共空間やモビリティーから着手して、将来的には医療機器への活用を見据える。

東芝ライテックは、将来的に空間デザインに配慮した天井埋め込み型や、カメラ付きなどの高付加価値照明との組み合わせも検討している。飛行ロボット(ドローン)への搭載も候補に挙げた。

特殊な光学フィルターで人体に悪影響がある波長のUV光を除くウシオ電機の独自技術は模倣が難しい。ウシオ電機は222ナノメートルUVの技術で22年度に100億円以上の売り上げを目指す。東芝ライテックも数年内に100億円の達成を視野に入れる。

新型コロナ対策として、深紫外線(UV―C)への注目度は高いが、一般的な波長ではUV―Cは人体に直接照射すると皮膚や目に影響がある。活用を模索する各社は、遠隔ロボットの活用や光を外部に漏らさない設計などの工夫をして安全性を確保している。

UV除菌・ウイルス抑制装置を持つウシオ電機の内藤宏治社長(左)と東芝ライテックの平岡敏行社長
日刊工業新聞2020年8月27日
日刊工業新聞記者
日刊工業新聞記者
ウシオ電機によると、222nmの紫外線を照射できるエキシマランプでも、同社独自のフィルターを通さなければ230nm以上の有害光を含んでしまうとのこと。UV-Cを活用する製品の情報や使い方はよく確認しましょう(同社によると人体に安全な領域は200-230nm)。東芝ライテックによるとドローンへの搭載は現段階ではあくまで構想の一つとのことですが、無人のオフィスや工場など活躍できる場所は多そうだと感じました。

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