消費電力4分の1…米EFINIXが集積度2倍の「FPGA」サンプル出荷
米EFINIX(エフィニックス、カリフォルニア州、サミー・チャン最高経営責任者〈CEO〉)は、高速データ伝送に対応するプログラミング可能な集積回路(FPGA)の新製品「Ti375」のサンプル出荷を2024年3月をめどに始める。価格や消費電力を抑えつつ、従来品「Ti180」と比べて集積度を約2倍に高めた。性能向上により、搭載対象製品の拡大につなげる。自動車や通信、医療分野などでの採用を想定する。
Ti375は台湾積体電路製造(TSMC)製の回路線幅16ナノメートル(ナノは10億分の1)の製品。オープンソースのアーキテクチャー(設計概念)「RISC―V(リスクファイブ)」に基づく中央演算処理装置(CPU)を新たに搭載し、性能向上を図っている。
Ti375の価格は非公表だが、他社の類似製品よりも安価に提供する予定。また他社の類似製品と比べ、消費電力は4分の1程度になる見通しだ。チャンCEOは「価格と消費電力において競争力がある製品を手がける」と強調する。
エフィニックスは22年から第2世代のFPGA「Titanium(タイタニウム)」シリーズを展開しており、Ti375もその一つ。同社が手がける第1世代のFPGA「Trion(トライオン)」シリーズとタイタニウムシリーズの販売比率は現在9対1だが、24年内には7対3ほどの比率にすることを目指す。
エフィニックスは12年設立のFPGAのファブレスメーカー。今後2―3年内の米ナスダック市場上場を目標とし、上場による資金調達で製品の品ぞろえ拡充を狙う。
日本では加賀電子傘下の加賀デバイス(東京都千代田区)などが代理店としてエフィニックス製品を扱っている。
日刊工業新聞 2023年12月13日