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半導体製造向け異物検査装置を増産、堀場製作所が本社工場拡張

半導体製造向け異物検査装置を増産、堀場製作所が本社工場拡張

堀場製作所の異物検査装置「PD Xpadion」

堀場製作所は半導体製造で使用する異物検査装置を増産する。本社工場(京都市南区)の生産エリアを拡張中で、2024年1月末に竣工予定。投資額は数億円とみられる。同装置は阿蘇工場(熊本県西原村)でも生産しており、全体の生産能力は従来比約1・5倍を見込む。足元は低調な半導体市場だが、歩留まりなどを見直す動きや、今後の市場成長を見越して引き合いが増加。同装置に異物除去などの機能を追加する開発も進行中で、生産・開発体制を強化する。

生産エリア拡張により、異物検査装置「PD Xpadion(エクスパディオン)」を増産し、年産約30台を目指す。本社内の既存オフィス棟1階部分を改装して生産エリアを広げる。拡張後の延べ床面積は、子会社の堀場エステック(京都市南区)阿蘇工場も含めた全体で従来比約2倍の325平方メートルとなる見通し。

同装置は、露光工程で使うレチクルやマスクといった回路を描いた原版のパターン面やその裏側のガラス面、パターン表面の保護膜(ペリクル)面に、品質不良の原因となる極微小な異物が付着していないか検知する。既に半導体メーカーやフォトマスクメーカーへ納入実績がある。開発当初から、同装置をベースにした機能拡張を想定。異物除去装置を組み合わせて一体運用するユニット化を進め、24年にも市場投入する計画だ。ウエハー自動搬送機能の自社設計にも一部対応しており、ニーズにより製品に組み込む。

さらに同社が得意とする分光技術を応用して、ペリクルが破れる予兆を測定し歩留まり向上につなげる機能の開発も、最先端の極端紫外線(EUV)プロセス向けに進めている。これら装置の複合化を進めるには、異物検査装置自体が大型ということもあり、生産エリアの拡張が必要と判断した。


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日刊工業新聞 2023年11月24日

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