島津製作所が環境配慮素材に転換、分析装置で実現させた部材の正体
島津製作所は環境配慮素材を採用した製品展開に乗り出す。セルロースファイバー強化難燃複合樹脂を配合した部材を主力製品の液体クロマトグラフ(LC)「Nexeraシリーズ」に適用する。11月下旬から順次切り替え、出荷する。装置は従来価格を据え置く。自社の二酸化炭素(CO2)排出量や石油由来プラスチックの使用量を削減しながら、ユーザーの脱炭素活動への貢献につなげる。
Nexeraシリーズは複数のユニットで構成し、送液や脱気といった構成ユニット15種類のカバーやフレームなどに使用している。LCでの採用を皮切りに、他の分析計測製品にもセルロースファイバー強化難燃複合樹脂配合部材を展開し、各製品のサステナブル素材使用比率を高める。島津製作所は製品へのサステナブル素材採用数で2025年度に10件以上を掲げており、第1弾となる。
セルロースファイバー強化難燃複合樹脂は、巴川製紙所とエフピー化成工業(静岡県富士市)が2020年に共同開発した「グリーンチップCMF」をベースに3社で開発した。分析装置などの電気機器は安全性の観点から外装や部材に燃えにくさが求められるため、同樹脂では難燃性を高めた。材料の燃えにくさの規格である米国の「UL94規格」で高グレードの「V―0」相当という。
グリーンチップCMFはポリプロピレン(PP)樹脂に天然素材のセルロース繊維を配合し、石油由来樹脂の使用量を削減できる環境配慮素材。強度が高いため部材を薄く成形でき、製品の軽量化にもつながる。ただ、一般的にプラスチックとセルロースは燃えやすく、それぞれの難燃性を高めるのは困難だった。
日刊工業新聞 2023年11月21日