水素エンジン事業化へ、アイラボがディーゼルエンジン改造トラックで初の公道実証
iLabo(アイラボ、東京都中央区、太田修裕社長)は1日、ディーゼルエンジンを水素用エンジンに改造した中型トラックの公道走行実証を始めると発表した。iLaboの同エンジン搭載トラックの公道実証は初めて。運送事業者の三芳エキスプレス(同江戸川区)と協力し、公道の貨物輸送で水素エンジントラックの運用方法や燃費性能などを検証。2024年に目指す同エンジンの事業化につなげる。
実証は環境省からの受託事業。実証期間は11月中旬から24年2月までの約3カ月間を予定。トラックを毎日運用し、ディーゼルエンジンとの燃費の違いや水素補給など運用方法を確認し、課題などを検証する。
貨物輸送は千葉県市川市の拠点を出発し、東京ディズニーランド(千葉県浦安市)周辺のホテルで貨物を積載。物流拠点を経由して、羽田空港で荷物を降ろした後、再び荷物を積んで同じルートを戻る。ルート上の水素ステーションで水素を補給し、1日約80キロ―95キロメートルを走行する。
ディーゼルエンジンを水素エンジンに改造するiLaboの「水素化コンバージョン」技術は、トラックの車両価格と改造費の合計を燃料電池(FC)トラック価格の3分の1程度に抑えられるのが特徴。今回は排気量5・2リットルのディーゼルエンジンを水素用に改造した。
トラックはタンクに最大10キログラムの水素を約10分で充填できる。水素10キログラムの設計上の走行距離は約200キロメートル。改造前のトラックの最大積載量は2・35トンだが、改造により2トン程度まで積載量が減り、エンジンのトルクは改造前の9割程度になるという。
日刊工業新聞 2023年11月02日