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低遅延通信「APN」で分散型DC実証、NTTが目指すモノ

NTTは2023年度中にも、ネットワークから端末までを光で結ぶ低遅延通信技術「オールフォトニクス・ネットワーク(APN)」でデータセンター(DC)間を結ぶ概念実証(PoC)を米国と英国で始める。大手クラウド事業者は複数のDCを通信網で連結した分散型DCの設置を進めている。通信遅延の影響でDC間の距離が従来60キロメートルまでしか設置できなかったが、APNの利用で90キロメートルまで広がり、DC建設地を増やせる。NTTは実証を通じ、DC立地の選択の幅を広げられるようにする。

ロンドン近郊のAPN概念実証

英国ではロンドン北西部のヘメル・ヘムステッドとロンドン東部のダグナム間の約100キロメートルをAPNでつなぐ。米国ではバージニア州アッシュバーンにある約10キロメートル離れた二つのDCをAPNで結び、低遅延性や高速大容量伝送の状況を検証する。

NTTが進めるAPNは次世代光通信基盤の構想「IOWN(アイオン)」の構成要素。エレクトロニクス(電子)ベースの従来技術に比べて電力効率を100倍、伝送容量を125倍、遅延を200分の1と、圧倒的な低消費電力と高品質・大容量、低遅延の伝送を目指している。APNを用いれば通信遅延を従来比300マイクロ秒(マイクロは100万分の1)短縮でき、DC間の距離を同30キロメートル広げられる。

米アマゾン・ウェブ・サービス(AWS)など100万台以上のサーバーを使う大手クラウド事業者は、システムの安定稼働や耐障害性、拡張性を確保するため、分散型DCの構築を進めている。だが、狭い範囲内に複数のDCを設置すると大量の電力を消費するため、一部の国や地域ではDCの新設許可を一時凍結する動きが出ていた。デジタル化の進展でDCの需要が増え続ける中、APNの活用はDC建設候補地の拡大につながる。

日刊工業新聞 2023年10月31日

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