「光エンジン」で売上高1000億円へ、NTTイノベーティブが25年投入
NTTイノベーティブデバイス(横浜市神奈川区、塚野英博社長)は6日、第3世代の光電融合デバイス「光エンジン」を2025年に投入し、売上高を早期に1000億円以上にする方針を示した。光電融合デバイスはNTTが進める次世代光通信基盤の構想「IOWN(アイオン)」の肝となる構成要素。デジタル化の進展でデータセンター(DC)の消費電力増大が課題となる中、同デバイスの普及でDCの電力使用抑制を目指す。
光電融合デバイスは半導体ボード(基板)間やチップ間での信号処理を電気ではなく光で行うことで大幅な高速化、省電力化を図る部品。第3世代となる光エンジンは、DSP(デジタル信号処理装置)と光回路、ファイバー・アレイ・ユニット(FAU)をパッケージ化した。大きさは縦20ミリ×横50ミリ×高さ7ミリメートル。1ビット当たりの消費電力は15ピコジュール(ピコは1兆分の1)。DCやサーバーへの搭載を見込む。
28年ごろの投入を目指す第4世代は光源となる薄膜レーザーも搭載。大きさを縦5ミリ×横10ミリ×高さ3ミリメートルに小型化し、1ビット当たりの消費電力を8ピコジュールに抑える。車載機器やパソコンなどへの採用を目指し、「圧倒的な飛躍を遂げる」(塚野社長)とした。
NTTは30年ごろの第6世代通信(6G)時代を見据え、IOWNの国際標準化を目指している。20年に米インテル、ソニーと共同で国際団体「IOWNグローバルフォーラム」を設立。KDDIや楽天モバイルなど132の企業・組織が参加している。
23年3月には通信網の光化で超低遅延を実現する専用線サービスの提供を開始。6月にNTTイノベーティブデバイスを設立し、8月にNTTエレクトロニクスと合併した。
日刊工業新聞 2023年09月07日