「光電融合デバイス」量産へ、NTTが売上高2000億円狙う
NTTは半導体チップの信号処理を電気ではなく光で行う「光電融合デバイス」の試作ラインを立ち上げ、2025年度に生産を始める。同社傘下の製造会社の拠点を活用しつつ、需要に応じて国内で新拠点を設ける可能性もある。同デバイスはNTTが掲げる次世代光通信基盤の構想「IOWN(アイオン)」の中核となる技術で、通信に使う消費電力の低減が見込める。29年度に量産する予定で、同年度に2000億円の売上高を目指す。
NTTは光電融合デバイスの事業化に向け、12日にNTTイノベーティブデバイス(東京都港区)を新設した。同社は8月に光電子部品・通信機器の開発・製造を手がけるNTTエレクトロニクス(横浜市神奈川区)との統合を予定。試作ライン構築に向けては同社の拠点を活用するほか、新拠点も検討する。
量産時期は29年度で、27年度までに道筋を付ける。自社製造か、外部委託するのかは検討中。まずはウエハーからチップを切り出し、パッケージングする「後工程」の製造技術を確立する。後工程分野のメーカーと連携して量産計画を進める。
NTTは25年度に半導体のボード(基板)間で、29年度にはチップ間で通信路を光化。30年度以降にチップ内の光化を目指す。これにより電力効率を従来比100倍に高める。
日刊工業新聞 2023年06月19日