デンソーが半導体に5000億円投資、売上高3倍へ社長が語ったこと
デンソーは、2030年までに半導体分野へ約5000億円を投じ、関連事業の売上高を35年に現状比3倍に拡大する。炭化ケイ素(SiC)パワー半導体などの生産を拡大し、コスト競争力を強化する。 26日開幕した「ジャパンモビリティショー2023」会場の東京ビッグサイト(東京都江東区)で林新之助社長が会見し、明らかにした。林社長は「半導体とソフトウエアは、外販やソリューション提供を想定し技術力に磨きをかける」と話した。
車の電動化やソフトウエア領域の人材を22年から25年までに4000人増強する。グループで半導体IP(回路設計)を開発するNSITEXE(エヌエスアイテクス、東京都港区)と車載ソフトの開発会社AUBASS(オーバス、同港区)をそれぞれ完全子会社し、吸収合併することを公表している。開発体制の強化や、開発に特化した人工知能(AI)を導入しソフトの開発スピードを2倍に引き上げる。他社との連携を広げ、半導体材料の安定調達も進める。
電気自動車(EV)や、ソフトウエアを更新して車の機能を高める「ソフトウエア定義車両(SDV)」の重要性が増す中、デンソーは電子プラットフォーム(基盤)や、通信によってソフトウエアを更新する「OTA」の技術開発を加速している。
林社長は同日の会見で、水素事業に参入する方針も示した。電気から水素をつくる固体酸化物形電解セル(SOEC)を25年以降、水素から電気をつくる固体酸化物形燃料電池(SOFC)を24年度末以降、市場投入することを目指す。
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日刊工業新聞 2023年10月27日