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端末の故障に備える「スマホ保険」、市場投入が相次ぐ背景

端末の故障に備える「スマホ保険」、市場投入が相次ぐ背景

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端末の高価格化で商機

少額短期保険会社が、スマートフォンが壊れた際の修理費用を補う「スマホ保険」を相次いで市場投入している。最新スマホ「iPhone(アイフォーン)15」の価格が最上位機種で税込み25万円弱と端末の高価格化が進む中、ニッセイプラス少額短期保険(東京都千代田区)は3日、イオン少額短期保険(同文京区)は12日に発売した。スマホは円安や部材高で端末価格が上昇し、修理費用も高額化する。各社はこの傾向を商機と捉え、商品開発に力を入れる。(大城麻木乃)

ニッセイプラス少短は、保険料が1台当たり月200円の場合で最大5万円、月400円の場合で最大10万円までカバーする保険を発売した。申し込みから保険金の請求まですべてスマホで完結し、通信キャリアや端末メーカー、新品や中古を問わず幅広く補償するのが特徴だ。

また子どもの携帯電話保有率の高まりや、仕事とプライベート用に携帯電話を複数持つケースが増えたことを踏まえ、「1人2台まで加入できるようにした」(同社)。

イオン少短は、イオンモバイル通信サービスの利用者向けにスマホ保険を提供する。保険料は月100円、150円、210円の3段階で、それぞれ1万5000円、2万5000円、5万円まで補償する三つのプランを用意する。さらに盗難や紛失に備えるオプションプランを月50円から付けられ、消費者の細かいニーズを捉える。現状はイオンモバイルの利用者限定となっているが、今冬にはイオンカード会員向けに対象を広げる方針だ。

スマホは近年、端末価格の上昇が続いている。円安や部材高が影響しており、端末の高機能化も製品価格を押し上げる要因となっている。これに伴い、破損した場合の修理代金も高額になるケースが増えている。専用の保険で割高な修理代に備えたいというニーズは高く、スピーディーな商品開発を強みとする少短が相次いで事業化している。

保険ベンチャーのジャストインケース(東京都中央区)は、アイフォーン15の発売日の当日にスマホ保険を発売。最上位機種で保険料は月1670円、最大22万円まで補償するという。

MM総研によると、携帯端末の割引前購入金額は、7月にスマートフォン利用者全体で7万338円となり、1月の前回調査から677円増加した。同社は「円安や物価高騰の影響を受け、スマートフォン全体で発売時の価格が上がっている」としている。

日刊工業新聞 2023年10月18日

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