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サイバー攻撃の備え手軽に、損保各社が中小・フリーランス向け保険を投入

サイバー攻撃の備え手軽に、損保各社が中小・フリーランス向け保険を投入

中小・フリーランス向けに多様なサイバー保険が登場(イメージ)

外部と連携、保険料抑え販売も

中小企業やフリーランスがサイバー保険に手軽に入れるようになってきた。SBI損害保険は同じSBIグループのブロードバンドセキュリティ(東京都新宿区、BBSec)と連携し、BBSecの中小企業向けセキュリティーサービスに、サイバー攻撃による一部損害費用を補う保険を付けた。三井住友海上火災保険はITフリーランス向けにサイバー保険を販売する。大企業のサプライチェーン(供給網)の隙を突いた攻撃が増え、中小企業もセキュリティー対策が求められていることで多様なサイバー保険が登場している。(大城麻木乃)

SBI損保は、BBSecの24時間365日の端末監視などのサイバーセキュリティーサービスにサイバー保険を付けた。駆けつけ時の費用や緊急対応支援の費用など突発的に発生するコストを補う。保険料はセキュリティーサービス料(1台当たり税込み年2万3760円)に含まれ、別途支払いは不要。最大1法人当たり500万円まで補償する。

三井住友海上はITフリーランス支援機構(東京都港区)と組み、ITフリーランス向けのサイバー保険を発売した。9月から募集を始めており、11月に補償開始を予定する。売上高200万円の場合、保険料は年5000円。サイバー攻撃を受けて訴えられた際の賠償損害で1000万円まで補償する。フリーランス向けのサイバー攻撃をカバーする保険はほとんどなく「他社と差別化できる商品」(三井住友海上)として提案する。

あいおいニッセイ同和損害保険は、シャープファイナンス(東京都千代田区)の医療情報プラットフォームで法人向けミニサイバー費用保険を販売している。

米保険仲介マーシュが公表したマーシュ・グローバル・インシュランス・インデックス日本語版によると、日本におけるサイバー保険の保険料率は4―6月期に前年同期比7・5%低下した。サイバー保険の引き受けに積極的な保険会社が増えたほか、企業がサイバー分野のリスク管理を全般的に改善し、損保会社の保険金請求頻度が減って、保険料率が下がったという。また「サイバー保険を扱う損保会社同士の競争が激しくなってきたことも、保険料率が低下する要因」(浦島裕美子シニアバイスプレジデント)と指摘する。ただ、サイバー保険の保険料は、過去2年で3倍に上昇し、「高止まりが適切な見方だ」(同)としている。

損保各社はセキュリティー会社と組んだり、一定の固定客を持つプラットフォーマーと連携するなどし、値頃感のある価格に保険料を抑えて販売する動きが広がりそうだ。


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日刊工業新聞 2023年10月06日

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