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「ギガキャスト」向け共同開発、ソディックと日本精機が積層造形で大型金型

「ギガキャスト」向け共同開発、ソディックと日本精機が積層造形で大型金型

ソディックの金属AM機による大型造形サンプル

ソディックと日本精機(名古屋市守山区、辻村正稔社長)は、自動車の構造部品をアルミニウム鋳造で一体成形する「ギガキャスト」向けに、大型の金型部品「入れ子」を金属積層造形(AM)で作る技術を共同開発する。電気自動車(EV)では軽量化などを目的にギガキャスト部品の拡大が見込まれる。EVのコスト削減などに貢献する大型金型部品のAM技術を2024年春にも実用化し、環境対応需要やモノづくりの変革に対応する。

ソディックと日本精機は敷き詰めた粉末材料をレーザーで溶融して造形するパウダーベッド方式のソディックの金属AM機「LPM450」を活用し、縦横450ミリメートル角サイズの大型入れ子のAM技術を確立する。

具体的には造形中の歪みや割れを抑制する造形条件や、熱処理による造形後の反りを抑える加工方法などを開発。造形の環境や状態を常時監視するほか、入れ子内部の形状や密度などを非破壊で検査する品質保証の仕組みも構築する。また入れ子の冷却用配水管内のさびや汚れを除去する洗浄装置も開発するなど、金型納入後の保守を含めた総合的な課題解決策を確立する。

ソディックは同AM機や金型鋼「SKD61」相当の独自の粉末材「SVM」で、縦400ミリ×横300ミリ×高さ50ミリメートルの大型造形物を造形する技術を開発している。日本精機は粉末材「HTC45」を採用した金属AM技術を確立。最大230ミリメートル角の入れ子を含め金属AM金型で豊富な納入実績があり、両社はこれまで蓄積したノウハウも活用する。

金属AMによる金型は冷却効果の高い配水管の設計などにより、アルミ鋳造部品の生産性向上によるコスト削減を実現できる。

一方、市場が拡大するEVでは、車体コストの削減などを目的に自動車メーカー各社でギガキャスト部品の採用が広がる。両社は同部品向けを含めた大型金型需要に対応し、AM金型の普及やAM機事業の拡大につなげる。


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日刊工業新聞 2023年10月17日

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