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EV・FCトラック・水素船…経産省、非化石エネ輸送を実証

EV・FCトラック・水素船…経産省、非化石エネ輸送を実証

ツネイシクラフト&ファシリティーズが開発した水素船「ハイドロびんご」

経済産業省は2024年度から、運輸部門の輸送効率化の実証事業に、電気自動車(EV)トラックや水素を燃料とする内航船など非化石エネルギーの移動手段を支援対象に加える。これまで化石燃料の移動手段を前提にデジタル技術を中心とした輸送効率化の実証を進めてきたが、非化石エネルギーへの転換も後押しし、運輸部門のエネルギー消費低減につなげる。

EVトラックの充電インフラや燃料電池(FC)トラックの水素ステーションの空き状況などを勘案しながら輸送を最適化するシステムの実証に補助金を出す。発荷主、輸送事業者、着荷主が参加する実証を想定する。バッテリーやFC、水素エンジンで駆動する内航船の実証も支援する。いずれも24年度中に公募する。事業期間は3年の予定。

これまでは化石燃料を使ったトラックを前提に人工知能(AI)やIoT(モノのインターネット)などデジタル技術を活用して輸送を効率化する実証や、空気抵抗を下げるために船首を球状にした省エネ型の内航船の実証を支援対象にしていた。従来の支援対象に、非化石エネルギーの移動手段を組み合わせた実証を新たに追加して、24年度の概算要求で合計62億円を計上した。

23年度から改正省エネ法が施行されたことに伴って、輸送事業者や荷主は、保有したり使用したりするトラックのうち非化石エネルギー自動車の割合を30年度までに5%とする目標が設定された。内航船についても、非化石エネルギーへの転換が求められるようになった。

運輸部門は最終エネルギー消費の約2割を占め、カーボンニュートラル温室効果ガス排出量実質ゼロ)の達成には省エネだけでなく非化石エネルギーへの転換が必要になっている。

日刊工業新聞 2023年09月27日

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