24年度設備投資に最大2000億円…いすゞがEVシフト本腰、商用車の電動化は一気に進むか
いすゞ自動車は電気自動車(EV)トラックの量産を見据え、2024年度から投資を本格化する。国内にEVトラックの評価・実験施設を設けるほか、販売拠点に充電設備を整備する。藤沢工場(神奈川県藤沢市)の生産体制も強化。24年度以降、全社の年間設備投資額を23年度見通しに比べて最大4割増やすことを視野に入れる。国内トラック販売首位のいすゞがEVシフトに本腰を入れることで商用車の電動化が一気に進みそうだ。
評価・実験施設は国内の既存拠点に新設する方針で、主力の藤沢工場に設けるとみられる。バッテリー評価設備や馬力など車両の走行性能を測定するシャシーダイナモを導入するほか、耐久性や操縦安定性などを測る総合評価施設を想定する。
いすゞは23年3月に小型トラック「エルフEV」を発売。現状は少量生産にとどまり、改良を重ねている。国内のEVトラック普及期を27年ごろと見込み、先駆けて実験・評価設備を整える。トラックは用途や環境によって仕様が細かく分かれるため、さまざまな実験・評価に対応する。
いすゞの南真介社長は「電動化投資は必須。自前でやるべきことを絞り、アライアンスも活用して投資とリソースを節減する」とする。同社は24年度から新中期経営計画を始動。30年度までに電動化を含めた革新的技術に1兆円を投じる計画で、24年度からは設備投資を年1500億―2000億円程度の水準に引き上げる方針だ。
商用車業界では17年に三菱ふそうトラック・バスが小型EVトラック「eキャンター」を発売。日野自動車も「デュトロZ EV」を市場投入している。
【関連記事】 EV向けで生きる!「世界初」水ベースの感温性磁性流体がスゴい!
日刊工業新聞 2023年08月25日