売上高1.2兆円へ、豊田合成が策定した新事業計画の中身
豊田合成は、2030年度(31年3月期)に売上高で23年3月期比26・1%増の1兆2000億円、営業利益が同2・9倍の1000億円、株主資本利益率(ROE)は10%の達成を目指す新事業計画を策定したと発表した。車の電動化や脱炭素社会の実現に向け経営リソースを集約するほか、海外拠点などの権限を高め、顧客ニーズに適した開発力を磨く。今後市場の縮小が予想される燃焼系事業は再編も視野に入れるなど事業構造を改革する。
9日都内で会見した齋藤克巳社長は「電気自動車(EV)をはじめとした新モビリティーと脱炭素で存在意義を発揮していく」と意気込んだ。30年度にはEV向け売上高が全体の4割を占めることを目指し、特にエアバッグを生産するセーフティーシステムや、内外装部品などに資源を投入する。
エアバッグではシートベルトとエアバッグを組み合わせた「ラップエアバッグ」の開発を加速。EVの普及とともに車両の構造が変化するため、齋藤社長は「乗員がどんな姿勢でも安全を守れる製品が必要だ。(ラップエアバッグが)普及すれば相当なゲームチェンジになる」と期待する。30年度にエアバッグの生産数を22年度比1・5倍に高める方針。
内外装事業でもセンサーを透過するフロントマスクの開発や、歩行者に車の接近を示すサイネージ(電子看板)などの開発に取り組む。要素製品を開発するだけでなく、モジュール化し、付加価値を向上。内外装を広く手がけるメーカーとしての存在感を示す。齋藤社長は中国でのEV普及にふれ「衝撃を受けた。危機意識をもって取り組む」と話した。
30年度までにEV対応などで累計3500億円の設備投資を予定。これとは別に他企業とのアライアンスやM&A(合併・買収)のため2500億円の戦略投資費も用意する
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日刊工業新聞 2023年08月10日