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「トルコ・日本科技大」開学へ、防災分野も研究内容に

「トルコ・日本科技大」開学へ、防災分野も研究内容に

国立大学協会の永田恭介会長(筑波大学長、左から3人目)は、5月にTJUを訪問した(TJU提供)

トルコ、日本両政府による大学院大学「トルコ・日本科学技術大学」(TJU)が2024年秋、イスタンブール近郊で本格的に開学する。研究分野は「エネルギー・資源・環境」などに、23年2月のトルコ・シリア大震災を踏まえて「防災・減災と都市コミュニティーのレジリエンス」を追加した。トルコはウクライナ情勢において存在感を示している。トルコと日本が24年に外交関係樹立100周年を迎えることもあり、連携の機運は高まっている。

アジアとヨーロッパにまたがるトルコには、国立・私立大学が各約100校あり、250社以上の日系企業が進出している。TJUは世界トップクラスを目指す研究型大学と位置付ける。

研究分野は防災・減災などのほか「情報・デジタル」「数学・物理・化学など基礎科学」「生命科学」とこれらの産業化に向けた学際的科学技術、「人文社会科学」。今後5年程度で整える。

当初は学生約30人、教員約10人の予定。キャンパスはイスタンブールから東に30キロメートルの「イスタンブールテクノパーク」隣接地で、現在は仮校舎の事務所を借りている。

4月に東京工業大学の三原久和教授がプロボスト(筆頭副学長)として赴任した。

教員の派遣や学生の受け入れに関わるコンソーシアム委員会には、京都大学東京大学早稲田大学などが加わった。

日本政府は二国間協定により校舎建設や実験設備提供を進めるほか、日本での修学機会提供に向けた「日本文化言語センター」などを支援する。

コルクット・ギュンゲン駐日大使は「日本の科学技術の実績を共有し、両国の関係を促進する大きな一歩だ」と期待している。

日刊工業新聞 2023年09月18日
山本佳世子
山本佳世子 Yamamoto Kayoko 編集局科学技術部 論説委員兼編集委員
外国における大学設立・運営で、日本の大学や教員が協力するケースは他にもある。エジプト、タイ、マレーシア、インド、ベトナムなどの先行事例がある。分野は発展途上国の人材育成として重要な、理工系が圧倒的だ。トルコの場合は国立大、私立大ともすでに約100校ずつある中、大学院大学の設計となった。よりレベルの高い人材育成に、日本の教育機関が貢献することは、産業界を含め両国の絆を深める上でプラスとなるだろう。

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