住宅会社の「トレーラーハウス」参入が相次ぐ理由
愛知県三河地域の住宅会社が相次いでトレーラーハウス事業に参入した。夏目デザイン(愛知県豊橋市、夏目学社長)は1日に展示場をオープンし、販売を開始。丸七住宅(愛知県幸田町、岩本敦行社長)は7月末にモデル棟を完成、受注を始めた。トレーラーハウスは大手ではミサワホームが9月1日に発売するなど、近年はライフスタイルの変化と供に需要が拡大。さらに会社の寮として活用を検討する企業が増えている。(名古屋・星川博樹)
夏目デザインは「地域に貢献し、地元の若者が働く場所を提供したい」(夏目社長)として既存事業からの多角化を図った。オープンした展示場「モバイル5」には住宅、店舗、事務所、仮設住宅などテーマごとに五つの木造のトレーラーハウスを展示した。
住宅用は「内外装ともデザインを重視した」(同)。ゼロ・エネルギー・ハウス(ZEH)と同等の断熱性能も備えた。価格は、長さ11×幅3×高さ3・3メートルの住宅用が950万円(消費税込み)から。同社はすでに6件を受注。夫婦世帯からのほか、社員寮として活用する企業からも注文があった。
丸七住宅も企業から社員寮用に受注した。同社は不動産、分譲住宅などを手がけ「経営資源を有効活用できる」(岩本社長)として参入を決めた。トレーラーハウスは法令上、建築物ではなく車両扱いとなるため、市街化調整区域でも設置が可能。このため「土地を有効活用したいお客さまが賃貸や社員寮として利用する需要がある」(同)という。
同社は長さ11メートル、幅3・4メートルの「トレーラーハウスMIKAWA」を本社に設置。970万円(消費税込み)から販売を始めた。今回の受注では同サイズのトレーラーを3部屋に分割して、寮として活用される。今後は小型化するなどして用途の拡大を図る。
同社によるとトレーラーハウスは年間8000台の市場規模があるとされ、需要は増加傾向にあるという。プライベートでアウトドアレジャーを楽しむ若い世帯では戸建て住宅が値上がりしていることなどからトレーラーハウスへの関心が高まっている。
また企業からは「外国人労働者には日本のアパートよりも、デザイン性に勝るトレーラーハウスのほうが寮としては喜んでもらえる」(夏目社長)との声も聞こえる。
人口減もあって戸建て住宅市場は今後も縮小が続く。トレーラーハウス市場は将来性が未知数だが「ミサワホームなどの大手が参入すれば市場としての価値も上がる」(岩本社長)として、両社とも市場の活性化に期待を寄せている。