半導体装置向け提案…日本高周波鋼業が特殊合金材の販売2倍に
日本高周波鋼業は成長領域の特殊合金材料事業で、2030年度までに販売数量と金額を現状の2倍に引き上げる。半導体製造装置向けにニッケル主体の低熱膨張性部材を提案するほか、電気自動車(EV)、医療機器向け需要を開拓する。特殊合金材は工具鋼などに比べ総じて付加価値が高い。関連する設備投資も積極化し、収益構成比を向上させて高利益体質に転換する。親会社の神戸製鋼所とは、研究開発やマーケティングで連携を深める。
日本高周波鋼業は特殊合金材料の事業強化について「今後策定を検討する経営計画などに盛り込んでいきたい」(小椋大輔社長)としている。
特殊合金材料事業に関して、多様な成分構成、形状加工ニーズへの対応を目指す。ニッケル主体の材料で実績のあるハードディスクドライブ(HDD)用ベアリング向けは高耐食性と高強度を両立させた。内部品質や清浄度が高いものの、加工が難しく、高度な成分設計も必要とされる。
同社は24年3月期に9億円弱の設備投資を計画する。今後の成長のため中長期的に特殊合金材料向け設備投資を活発化する方針。温度を制御した上で高剛性に加工できる設備や、難加工に資する検査装置などの導入を検討していく。
日本高周波鋼業は神戸製鋼の子会社で、工具鋼と特殊合金材の一貫生産、軸受鋼加工をはじめ、グループ会社で標準金型、鋳物などを手がける。主力の富山製造所(富山県射水市)は電気炉を持ち、溶解から鍛造、圧延、熱処理加工、仕上げまで一貫生産しており、多品種・小ロット・短納期の供給体制を強化していく。
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日刊工業新聞 2023年月8月29日