ニュースイッチ

核融合原型炉開発で新事業、重要技術ごとにプロジェクトチーム組成

文科省が予算要求

文部科学省は核融合発電の原型炉開発遂行体制を見直す。超電導コイルなどの重要技術ごとにプロジェクトチームを組成。責任を明確化し、意思決定を早める。従来は量子科学技術研究開発機構(QST)や核融合科学研究機構(NIFS)が実施する産学官の共同研究の下で複数の開発プロジェクトが走り、ガバナンス(統治)体制が曖昧になりがちだった。

新たな原型炉開発体制では、文科省の「原型炉開発総合戦略タスクフォース」の傘下に、プロジェクト別の事業責任者を務める「プログラムディレクター」「プログラムオフィサー」を配置。事業責任者に権限を集め、研究開発を主導する体制に変更する。事業責任者が研究課題や期間、研究費などを柔軟に設定できるようにし、成果を出しやすくする。2024年1月にも公募を始め、同年4月からの事業開始を目指す。

核融合エネルギーの早期実現に向け、国際熱核融合実験炉(ITER)やQSTが整備する「JT―60SA」などのプロジェクトが進んでいる。原型炉開発では現状、JT―60SAなどの補助金を活用している。

文科省は核融合研究開発の推進に向け、ITER計画の拠出金や技術開発支援、人材育成、独創的な振興技術支援などを含め、24年度予算の概算要求に292億円を盛り込む。

核融合発電は重水素と三重水素の原子核をプラズマでぶつけて核融合反応を起こし、生じた熱を使い発電する。発電時に二酸化炭素(CO2)を排出しない次世代エネルギーとして期待される。海外では30年代にパイロットプラントの実現を目指すスタートアップもある。政府は4月に核融合戦略を策定。核融合発電の実用化を加速させたい考えだ。

日刊工業新聞 2023年月8月29日

編集部のおすすめ