日本郵船・商船三井・川崎汽船…海運3社が業績を上方修正したワケ
海運3社は足元の円安や自動車輸送の好調さを反映し、全社が2024年3月期連結業績の経常利益予想を上方修正した。日本郵船は、従来予想比200億円増の2200億円(前期比80・2%減)とした。商船三井は経常利益予想を同200億円、川崎汽船は同50億円上乗せした。業績全体はコロナ禍で高騰していたコンテナ船運賃の下落が利益を大幅に押し下げる。北米の在庫解消や中国経済の回復が今後の需要回復の焦点となる。
日本郵船は3日、24年3月期業績予想の売上高を同1300億円減の2兆1700億円(同17・1%減)に下方修正する一方、経常利益に加え、営業利益を同180億円増の1460億円(同50・7%減)、当期利益を同200億円増の2200億円(同78・3%減)に上方修正した。
欧州などの消費マインド低下や中国経済の回復遅れなどで輸送需要が弱含む中、円安や自動車輸送の増加などが上方修正の要因となった。「最適配船と運航により強い輸送需要を取り込む」(山本敬志執行役員)とする。
商船三井は24年3月期業績の売上高と経常、当期利益を上方修正し、営業利益を下方修正した。川崎汽船は売上高と営業、経常利益を上方修正し、当期利益は据え置いた。各社とも円安と自動車船やエネルギー事業の好調が利益を押し上げる。
ただ、輸送需要を左右する中国経済や米国経済の動向に対し、各社とも期初に比べ慎重な見方だ。「米国経済は悪くなることも含め保守的にみる」(商船三井の梅村尚取締役常務執行役員)、「中国経済は夏場以降に回復の期待があったが、後ろにずれた感覚だ」(川崎汽船の山鹿徳昌常務執行役員)とした。
日刊工業新聞 2023年08月04日