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湖底・海底のドロから放射能測定へ、福島大が水中を滑空するロボットを開発

湖底・海底のドロから放射能測定へ、福島大が水中を滑空するロボットを開発

水中グライダー式ロボット

福島大学の高橋隆行教授の研究グループは湖底・海底などの泥を採取し戻ってくる水中グライダー式ロボット「Gタートル」を開発し、実証実験を始める。泥の放射能濃度などを測定するため、翼を使いスラスター(推進装置)方式で水中を移動。目的域でスラスターを使い水底へ移動して泥を採取。上昇して水面下を移動して戻る水中自律型無人潜水機(AUV)として実用化を目指す。

高橋教授の研究室は蓄電池でスクリューを回し、水中を800メートル高速運行するタイプのロボットを既に開発した。Gタートルはスクリューを翼を使ったグライダー方式に変更し、水中を“滑空”する。重量は従来型の70キログラムに対し、実用化段階では人が運べる30キログラムを目標にしている。

Gタートルは水面下50メートル程度の水中を滑空して移動。観測水域では100メートル程度の水底までプロペラを使ってロボットを前進、沈降、浮上させる調整器にベローズを用いる。ベローズはフッ素樹脂(PTFE)製で耐候性、伸縮性に優れ、エネルギー効率も高い。厚さは0・5ミリメートルで軽量ながら水面下の圧力に耐えることができる。福島国際研究教育機構(F―REI、福島県浪江町)が先導研究に採択した。

ベローズの設計では同研究室の学生が日本機械学会から若手フェロー賞を受賞。加工は福島県本宮市に工場を持つ飯田製作所(横浜市泉区)が担う。猪苗代湖などで実証し、海底の泥採取も実施する計画だ。

日刊工業新聞 2023年08月03日

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