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中国スマホ実需停滞…低迷続く「電子部品出荷」、今後の見通しは?

電子情報技術産業協会(JEITA)がまとめた日本メーカーによる5月の電子部品世界出荷額は、前年同月比2%減の3364億円だった。2022年11月以降、7カ月連続の前年割れとなった。最大の輸出先である中国で、景気後退リスクの高まりなどを背景にスマートフォンなど幅広い分野で実需が落ち込んでいる。加えてスマホメーカーなどの顧客が部品在庫の圧縮を進めた結果、実需以上に出荷が落ち込んでいる。

品種別に見ると、スマホなどの中で電気を一時的に蓄えたり放出したりして回路のノイズを除去し、電圧を安定させるコンデンサーは同8%減の1158億円。コンデンサーと組み合わせて電流の波をなだらかにするインダクターも同9%減の227億円だった。

出荷額の3割超を占め、地域別では最大の中国で景気の回復力に陰りが目立つ。不動産市場低迷の影響で家電などの需要がさえないほか、政府が腐敗撲滅に力を入れる金融業界などで給与削減の動きが拡大し、所得を下押ししている。家計が貯蓄を優先する結果、スマホなど耐久消費財の需要の落ち込みが続く。

このため中華系スマホメーカーは手持ちの電子部品在庫の削減を加速している。電子部品メーカーの出荷量は少ない実需よりさらに落ち込んだもようだ。

スマホメーカーの部品在庫の圧縮は最終段階に近づいているが、実需が振るわないため、6月以降も前年同月比10%強以上の出荷回復は見込みにくいとの見方が増えている。


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日刊工業新聞 2023年08月02日

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