「繊維強化集成材」耐火建築物に利用可能に、熊谷組と帝人が開発着手
熊谷組と帝人は、耐火建築物に利用可能な高機能繊維強化集成材の開発に着手したと発表した。帝人の高機能繊維強化集成材「LIVELY WOOD(ライブリーウッド)」を芯材の構造部材とし、熊谷組の木質耐火部材「環境配慮型λ―WOODⅡ(ラムダウッドツー)」の仕様の耐火被覆層を施す。建材試験センターでの梁の耐火試験では、2時間の耐火性能を有することを確認した。今後、実用化に向けた検討を重ね、実物件での採用を目指す。
ライブリーウッドは、既存の集成材を炭素繊維で補強し、剛性や強度を高めた集成材。一方、耐火性能を有しておらず、耐火性能が必要な木造建築物に用いることができないという課題があった。
ラムダウッドツーは、芯材の周囲に耐火被覆層を施すことで、耐火性能を確保した木質耐火部材の技術。ただ芯材の木材は既存の集成材などを基本としており、建築物の大スパン化には性能が不足するのが難点だった。
近年、環境配慮や国産材活用といった観点から、戸建て住宅以外の住宅や非住宅でも、木造の需要が高まっている。両社の技術を掛け合わせた集成材を通じて、中大規模木造建築物の普及を促進する。
日刊工業新聞 2023年07月14日