ダウン利用でコスト5分の1に、帝人フロンティアが「リサイクルポリエステル65%使用の中綿素材」開発
帝人フロンティア(大阪市北区、平田恭成社長)は、リサイクルポリエステルを65%使用した中綿素材「マイクロフラッフィーECO(エコ)」を開発した。ポリエステルのモノマテリアル(単一素材)でリサイクルがしやすいほか、市販の粒綿と比べ、かさ高性にも優れる。ダウン(羽毛)のコストが高騰する中、同製品の利用で価格も5分の1程度に抑えられる。ダウンジャケットなどへの用途で、2024年秋冬向けの採用を目指す。
帝人フロンティアが従来から手がけるポリエステルのリサイクル技術を活用して実現した。ダウンの1・3倍の量のマイクロフラッフィーECOを使用することで、同等の保温性が得られるという。現在、中国の工場で試作品の製造を行っている。
市販の中綿素材は短繊維を粒状にしたもので、綿の偏りや、衣服の表面から粒の形が目立つといった課題があった。マイクロフラッフィーECOでは、粒とその周りに糸状の繊維が複雑に絡み合う構造となっているため、粒の形状も目立ちにくく、かさ高性や復元性、保温性にも優れる。
近年、動物愛護の観点などからダウンの供給量が減少し、価格も高騰している。加えて欧米を中心に、衣料品のリサイクル適性など環境面からも厳格な対応が求められている。
同社は1995年にリサイクルポリエステル繊維「ECOPET(エコペット)」の販売を始め、ポリエステルリサイクル技術を高めてきた。これまで蓄積してきた技術力を生かし、環境意識の高いブランドなどに訴求を図る。
日刊工業新聞 2023年月6月20日