航続距離2倍・可搬重量5倍…水素電池搭載ドローンが目指す性能
日本鯨類研究所(東京都中央区、藤瀬良弘理事長)は、2024年度末をめどに水素燃料電池を搭載した長距離飛行ロボット(ドローン)「飛鳥改5丙2型」を開発する。リチウムイオン電池(LiB)を使う現行機種に比べ飛行距離は2倍の200キロメートル、可搬重量は5倍の10キログラムにそれぞれ向上できる見込み。飛行距離性能の高さを生かし、将来は鯨類調査観測だけでなく、一般漁船からのドローンによる魚群発見や広域警備、災害救助分野への利用を視野に入れる。価格もその時点で1500万円程度を目指す。
日本鯨類研究所は南極海などの鯨類調査研究に使う目的で、動力源にLiBを採用したドローンを開発済み。長い距離を追跡するためには飛行距離や耐風性能が重要となるが、同ドローンの飛行距離は22年に日本新記録の104キロメートルを達成している。
新たに開発する機種は、水素燃料電池への換装により一層の性能向上を図る。LiBとの比較で、単位重量当たりの給電力は水素燃料電池が勝る見込みで、同研究所によると「機体が大きくなるほど、水素燃料電池の方が価格上昇を考えても有利だ」(担当者)という。
ベース機体は完成済みで、今後はLiBを水素燃料電池に付け替えて製作を進める。ベース機体のプロペラ数は左右翼両側に1個ずつの計4個、機体中央後部に1個の合計5個だが、水素燃料電池は翼装着機の数を倍増し8個にすることを検討。航行中の船を含む限られたスペースから、強風時にも離発着できる性能を目指す。
日刊工業新聞 2023年月7月4日