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旭化成の技術力を一台に結集、コンセプトカーを展示する意図

旭化成の技術力を一台に結集、コンセプトカーを展示する意図

旭化成のコンセプトカー「AKXY2」

旭化成が自動車関連の提案活動を積極化している。2022年4月の組織改正を機に組織横断的に自動車メーカーのニーズをきめ細かく聞き取り、開発などに生かす体制を構築。グローバルで自動車関連のマーケティング拠点を拡充するなど、自動車業界の変革期を捉え、得意とする内装材を中心に需要獲得に取り組む考えだ。(山岸渉)

旭化成が自動車関連向けの技術力の象徴として示すのが、展示会で紹介しているコンセプトカー「AKXY(アクシー)」だ。内装材などの技術力を結集し、コンセプトカーにすることで分かりやすく示している。

5月に横浜市内で開催された自動車技術関連の展示会「人とくるまのテクノロジー展2023」にも「AKXY2」を出展。多くの来場者の関心を集めていた。

AKXYの開発などを踏まえ、モビリティ&インダストリアル事業本部戦略推進部長の番幸裕理事は「一つになって車メーカーの戦略にアプローチしていく」と意気込む。22年4月に戦略推進部を設け、自動車需要の獲得へ体制を強化した。

自動車需要の獲得に向けて重要な役割を担うのが情報統括窓口「キーアカウントマネージャー(KAM)」だ。旭化成の研究開発の状況などを車メーカー側に伝えつつ、何を見据えているかなどをフィードバックして全体に落としこむ役割を担う。車メーカーに常駐する人員を置いて柔軟に対応できる体制にもしている。

今後も電気自動車(EV)シフトを踏まえ、開発期間の短縮やコスト低減への対応を進めつつ、旭化成が持つさまざまな製品力をシステムとして提案できる体制づくりを進めていく。人とくるま展に出展した、ガラス繊維織物とポリアミド樹脂を組み合わせた材料「レンセン」などを開発しており、提案に力を入れていく考えだ。

また車関連企業に製品を身近に感じてもらうため、拠点の拡充もグローバルで進めている。中国の共創拠点に加え、米国の自動車関連のマーケティング拠点である「ノバイ事務所」を移転・拡充する計画だ。新たな拠点は23年内の稼働開始を目指す。ノバイ事務所の地域は米系車関連企業が集積しており、EV化などニーズの変化に柔軟に対応した提案がしやすくなるとみる。

また番理事は同部の位置付けについて、「ここでさまざまな素材を知ってもらい、羽ばたいてもらうのも大事だ」と指摘。より知見を広げる人材育成の面でも重要と捉えている。


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日刊工業新聞 2023年06月29日

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