旭化成は黒字転換…総合化学5社の通期予想、4社が当期増益
総合化学5社の2024年3月期連結業績予想が15日出そろい、4社が当期増益を見通す。旭化成は黒字転換。三菱ケミカルグループや旭化成は前期に計上した減損損失がなくなるほか、各社とも自動車生産の回復や半導体関連などによる需要増を見込む。石油化学製品も下期にかけて市場が底打ちするなど石化関連事業の業績回復も予想する。
三菱ケミカルグループはアクリル樹脂原料「MMA」の英国工場閉鎖に伴う損失などがなくなる。旭化成は米国の子会社が手がける乾式セパレーター事業に関連する損失がなくなるなど当期損益は黒字転換の見込み。三菱ケミカルグループの中平優子最高財務責任者(CFO)は「各事業とも下期に需要の回復を見込む」と見通す。各社は自動車関連や半導体関連の需要増を予想。三井化学は自動車関連用途のエラストマーなどが伸びる。旭化成は自動車内装材などの収益拡大を見込む。
住友化学はフォトレジストの増強などで「24年3月期の後半からV時回復し、25年3月期にコア営業利益2000億円を達成したい」(岩田圭一社長)。シンガポール工場での低燃費タイヤ向け合成ゴム(S―SBR)の24年半ばで生産終了の合理化などで27年3月期までに当初25年3月期計画のコア営業利益目標3000億円の達成を目指す。
石化関連は原燃料高や需要減が課題だったが、24年3月期は市場環境が改善する。三井化学の中島一代表取締役専務執行役員は「クラッカーの稼働率は下期から改善する」と分析。三菱ケミカルグループの石化関連事業のコア営業利益は前期比7・3倍の160億円を予想。旭化成の石化関連事業は24年3月期の後半期に向けて需要回復や固定費の低減で黒字転換を見込む。東ソーは石炭やナフサといった原燃料価格の下落による石化事業やクロル・アルカリ事業の収益改善を予想する。
23年3月期は三菱ケミカルグループと旭化成が売上高で過去最高を更新したが全社が当期減益か当期赤字。
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