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コイル一体型直流電圧変換器、出力電圧切り替え効率化

トレックス・セミコンダクターが開発
コイル一体型直流電圧変換器、出力電圧切り替え効率化

「XCL233シリーズ」を実装した基板

トレックス・セミコンダクターは、信号入力によって二つの出力電圧を切り替える機能「VSET」を搭載したコイル一体型直流電圧変換器(DC―DCコンバーター)「XCL233シリーズ」を開発した。動作電圧範囲が広いマイクロ・コントロール・ユニット(MCU)に対し、待機時は低電圧、動作時は高電圧を供給して効率的に駆動できる。21日に発売するサンプル品の価格は280円(消費税抜き)。初年度10万台、2年目以降100万台の販売を目指す。

MCUは待機時には低電圧、センサーや通信などの駆動時には例えば3ボルトの高電圧が必要で、IoT(モノのインターネット)や機器の小型化の進展に伴って近年は動作電圧範囲が拡大している。新製品は既存の超低消費電流回路に加えてVSET機能を搭載し、MCUの動作状態に応じて動的に出力電圧を変更して待機時の消費電力を削減できる。

同社の従来型DC―DCコンバーターでは20%以下だった効率を、80%以上と大幅に向上した。小型機器の駆動電池の寿命延長に適しており、セキュリティーセンサーやFAセンサー、IoT機器、ウエアラブル機器などでの利用を想定する。また制御ICとコイルの一体化により、小型セラミックコンデンサー二つを外付けするだけで超小型化や軽負荷からの高効率を実現。設計容易性で顧客の開発をサポートする。

出力電圧範囲は0・5―3・6ボルト、電圧0・5ボルト時の消費電流は200ナノアンペア(ナノは10億分の1)。パッケージのサイズは縦2・5ミリ×横2・0ミリ×高さ1・04ミリメートル。

日刊工業新聞 2023年06月21日

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