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車体塗装用ロボアームの軌道最適化、鹿児島大とトヨタ車体研が技術開発

鹿児島大学の永井裕也大学院生と小野智司教授らはトヨタ車体研究所(鹿児島県霧島市)と共同で、車体塗装用のロボットアーム軌道を自動設計する技術を開発した。軌道を配送最適化問題として定式化し、人工知能(AI)技術の遺伝的アルゴリズムで解く。塗装順など品質に関わる制約を導入しやすい。熟練者の設計とよく似た軌道を生成できた。設計負荷を抑えられると、多種変量型などの複雑な製造ラインを組みやすくなる。

車体塗装は品質の観点から塗装速度は一定で直線的に動かす、下から上へ順に塗装する、吹き付けながらスプレーガンを方向転換してはいけないといった制約がある。そこでアームの軌道を水平線分として与え、線分をなぞる順番を配送最適化問題として定式化した。

配送最適化問題では、セールスマンが都市をめぐる際に移動距離を最小化するように訪問順を求める。都市を水平線分に置き換えて移動距離を最小化した。

ロボットアーム4台の間を車体が流れる塗装ラインを想定する。アーム同士の衝突回避やアーム長、塗装順などを制約として組み入れ、遺伝的アルゴリズムで問題を解くと熟練者と似た軌道を生成できた。アーム稼働時間は人手の設計よりも短縮できた。

2次元(2D)モデルで有効性を確かめ3次元(3D)モデルに適用すると、全ての制約を満たした軌道が生成できた。現場では車種や塗料によって塗装条件が変わる。制約を追加変更しやすい軌道設計自動化技術ができると、多種変量などの複雑なラインに対応しやすくなる。

日刊工業新聞 2023年06月16日

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