「ランクル70」が今秋復活、トヨタが9年ぶり国内再販の背景
トヨタ自動車は2023年秋にもスポーツ多目的車(SUV)「ランドクルーザー70」の国内販売を約9年ぶりに復活する。1984年に発売し、04年に販売を終了したが、14年に1年の期間限定で再販した経緯がある。ランクル70は耐久性や走行性などに優れ、所有者の嗜好に応じてカスタムできるため根強い人気がある。日本の排出ガス規制に対応するめどをつけたことから、販売再開を期待する国内顧客の声に応える。
国内向けはトヨタ車体の吉原工場(愛知県豊田市)で生産する。まず23年9月から月400台程度で生産を始め、25年にかけて台数を増やす計画。
ランクル70は耐久性や信頼性、悪路をものともしない走破性が支持されている。現在はアフリカやオセアニア、中近東、アジアが主な販売地域。22年暦年では世界で約6万5000台を販売した。海外向けランクル70のボディータイプはバンとピックアップがあるが、国内はバンタイプのみを販売する。
カスタムニーズも高い。販売後に部品や装備などを変更するアフター事業を広げることも再販の狙いの一つとみられる。
生産を担うトヨタ車体はランクルのカスタム専門店「ランクルBASE(ベース)」を愛知県刈谷市内に立ち上げ、新車販売に加えてアフター事業の強化に乗り出した。顧客と接してニーズを吸い上げ、アフター事業の展開や新車開発につなげる方針だ。
トヨタ車体は生産台数の約4分の1をランクルが占める。同社の全車両生産台数は22年3月期に55万台だったが、23年3月期は64万台を見込む。ランクルなどで顧客のニーズをより多く取り込むなどして需要を掘り起こし、24年3月期は70万台を目指す。
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日刊工業新聞 2023年02月17日