大型MLCC生産拡大「25年度まで年20%伸ばす」…太陽誘電次期社長の展望
太陽誘電次期社長(29日就任予定)の佐瀬克也取締役専務執行役員は6日都内で会見し、自動車の先進運転支援システム(ADAS)向けで需要が拡大している大型の積層セラミックコンデンサー(MLCC)やハイブリッドアルミ電解コンデンサーの生産能力を拡大するとした中期経営計画を達成して、成長につなげたい考えを示した。
佐瀬次期社長は同社売上高の6割超を占めるMLCCについて「中計最終年度の2025年度に20年度比で需要が4割伸びるとの見方に変わりはないが、中身が変わる」と説明。スマートフォンに搭載される小型のMLCCの伸びが鈍化する一方、高電圧・大電流に対応した長さ3ミリ×幅2ミリメートル程度と大型のMLCCの需要が自動車のADAS向けなどで増加するとした。
「(切断以降の)後工程の能力が足りず、22年度は販売を大きく伸ばせなかった。国内外の工場に投資し、大型MLCCの能力を25年度まで毎年約20%程度ずつ伸ばす」(佐瀬次期社長)方針だ。
ADAS向けでは電解質に導電性高分子と電解液を使用したハイブリッドアルミ電解コンデンサーの需要も増えている。佐瀬次期社長は「25年に20年比で2・5倍という市場の伸び以上に能力を拡大し、シェアを高めたい」とし、能力を25年度までに少なくとも3倍程度引き上げたいとの考えを示した。青森県黒石市などの既存建屋の空きスペースに設備を導入する方向で検討しており、これら2品種を含め、21―25年度に累計3000億円の設備投資を行う方針に変更はないという。
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日刊工業新聞 2023年06月07日