街の機能を可視化する、竹中工務店が開発した仕組み
竹中工務店はハードとソフトの両面で、街が備える機能を分析・可視化する仕組みを構築した。このほど、地下水活用の可能性や災害時のレジリエンス(復元力)を評価するツールを開発。台風に影響されにくい建物の形状を詰めたり、会員制交流サイト(SNS)から街の印象を探ったりする独自ツールと組み合わせて活用する。いずれも自治体や企業に利用してもらい、街づくりを支援する。
竹中工務店はくみ上げた地下水を建物の冷暖房に利用する「帯水層蓄熱システム」について、街全体に導入した場合の効果を可視化するツールを開発した。第1弾として、大阪・梅田のオフィスや商業施設から排出される熱エネルギーを推定。その上で大阪市の「帯水層蓄熱情報マップ」と重ね、地下水活用の是非や費用対効果、井戸の位置といった判断材料を提供できるようにした。
併せて土地の高低差や水路などの公開情報を活用し、災害時のレジリエンスをマッピング化するツールも開発。植栽を通して雨水を貯留・浸透させる「レインスケープ」などの提案につなげる。また、風の流れや光の量、災害時の人の動きを分析・表示する機能なども搭載。非常用電源やデジタルサイネージの仕様、設置場所などの検討時に役立ててもらうことを想定する。
同社は先行して、建物が受ける風荷重を評価する「カザミドリ」や、人工知能(AI)によるSNSの分析から街の質的な評価を可視化する「ソーシャルヒートマップ」を提供している。これに今回開発した2ツールを加え、都市模型やプロジェクションマッピングと組み合わせた「サイバー都市ビューア」として運用。分析結果をより直感的に訴求する仕掛けを検討する。
日刊工業新聞 2023年06月02日