火星探査用の実験も、JAXAが発表した大樹実験場・今年度計画の中身
宇宙航空研究開発機構(JAXA)は25日、2023年度に大樹航空宇宙実験場(北海道大樹町)で実施する大気球や航空機などの実験計画を発表した。火星探査用飛行機の飛行試験や天文学分野の観測に使う放射線検出器の技術検討などを予定している。惑星探査や航空機の基盤技術の開発につながる。気球実験は6月中旬―8月下旬に実施する。
気球実験では、火星探査で使う飛行機について火星の飛行環境を模擬できる高度35キロメートルでの飛行試験をする。自在な飛行探査のための制御機構などを検証する。また同機に搭載する試験用プロペラの特性を評価する。
大型の放射線検出器を気球などに搭載し、天文学分野の観測に活用する日米国際共同実験計画を進める。ブラックホールや中性子星が放つ放射線の観測と低エネルギー反粒子の検出による暗黒物質探索を開拓する。気球搭載用に設計した小型検出器を気球に載せ、上空で安定的に動作する運用方法を確立する。
はやぶさ2プロジェクトのように、惑星から試料を地球に届ける「サンプルリターン」に使う新型カプセルの試験もする。同カプセルはパラシュートを使わずに地上まで降下できる特徴を持つ。気球に載せて高度20キロ―30キロメートルから落下させた時の飛行データを取る。 航空機での実験は、小型無人機の飛行試験や空中風力発電の開発に向けた凧(たこ)制御試験を行う。
日刊工業新聞 2023年05月26日