三菱ガス化学が事業再編を加速する狙い
三菱ガス化学は子会社の統合など事業再編を加速する。完全子会社の日本ユピカ(東京都千代田区)と日本ファインケム(同)を統合する検討を始めた。ホルマリン事業に関しては、販売に関する一部事業を完全子会社のMGCウッドケム(WCM、東京都千代田区)に移管することを決めた。三菱ガス化学グループとして効率的な経営体制の構築や相乗効果の創出などを狙う。
日本ユピカと日本ファインケムの統合については、時期を含めて検討する。日本ファインケムの坂出工場(香川県坂出市)で日本ユピカ製品を生産するといった生産面での有効活用を想定する。三菱ガス化学は3月末に、東洋紡が保有する日本ユピカの株式を取得して完全子会社化しており、事業改革に向けた下地を整えてきた。
ホルマリン事業では、ホルマリン、ホルマロール、ホルマリン安定剤の販売に関する事業について段階を経て2024年4月にはWCMに移管する予定。合理化によって事業の収益改善を図る考え。
三菱ガス化学は関係会社の再編などを通じて、事業環境の変化に対応した経営基盤の強化に取り組む方針だ。その一環として4月には三菱エンジニアリングプラスチックス(東京都港区)の株式を追加取得し、連結子会社化。三菱エンプラをポリカーボネート樹脂に特化した会社とし、高付加価値化を進めて差別化する考え。ポリアセタール樹脂事業などについては、子会社のグローバルポリアセタール(東京都港区)に統合した。
藤井政志社長が「事業ポートフォリオの改革は順調に進んでいる」と話すように、23年度を最終年度とする中期経営計画で自己資本利益率(ROE)9%以上(22年度は8・3%)などの目標達成がみえてきた。今後は合理化で生み出した経営資源をより半導体材料などの成長分野に振り向けられるかが経営基盤の一層の強化のカギになりそうだ。
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