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医薬品の知財戦略を考える。揺らぐ創出国第3位の地位

文=秋元浩(知的財産戦略ネットワーク社長)

国家戦略として知財人財の育成を


 創薬ビジネスを世界と肩を並べて活発化させるためには、技術の発掘・選定、創薬ベンチャー創生、ベンチャーから医薬品産業への技術移転までの各プロセスにおいて、それらを担う各機関・組織の中に、技術・知財・事業化を一気通貫で理解し、事業戦略と知財戦略を組み立ててグローバルな観点から実践できる人財が必要不可欠となる。

 しかし、わが国にはそのようなマルチ人財が決定的に不足しており、わが国の優れた研究成果や要素技術の事業化への道を大きく阻む要因の一つになっている。5年、10年、15年の継続したサイクルで知財人財の育成を国家戦略として一貫性と継続性をもって計画的に展開し、基盤的なプラットフォームを構築するとともに、育成された人財のネットワーク化を図るべきである。

 筆者が代表を務めている知的財産戦略ネットワーク(IPSN)は、主としてアカデミアから生まれた研究成果の知財価値の向上(知財戦略・戦術、知財価値評価、技術提携など)に向けた支援活動を行っている。IPSNあるいはほかの支援機関を利活用して、現在の知財人財不足を補填(ほてん)し、創薬の実現につなげてもらいたい。
<略歴>
 秋元浩(あきもと・ひろし1970年、東京大学薬学系研究科博士課程卒(薬学博士)。72年武田薬品工業に入社。創薬第3研究所長、知的財産部長、常務取締役を経て、2009年7月に知的財産戦略ネットワーク社長就任、現在に至る。東京大学大学院工学系研究科客員教授。


明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役ブランドコミュニケーション担当
今、話題の「ゲノム編集」。欧州の製薬大手はベンチャー企業の最新技術を取り込み、実用化に向けて先手を打っている。その代表例がドイツのバイエルとスイスのベンチャー「クリスパー・セラピューティクス」。血友病、小児の心臓病などで創薬を目指すという。ドイツ・ハノーバー大学医学大学院教授などを務めるエマニュエル・シャルパンティエ博士と、カリフォルニア大学バークレー校(UCバークレー)教授のジェニファー・ダウドナ博士は昨年のノーベル化学賞候補にもあげられた。日本は世界から取り残されてはいないか。

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