生成AI積極利活用…日立製作所がセンター新設で狙う効果
日立製作所は、生成人工知能(AI)を社内外で積極的に利活用するため、社内横断組織「ジェネレーティブAIセンター」を設置したと発表した。6月からAI活用の知見やセキュリティー、知的財産などの知識と組み合わせ、顧客へのコンサルティングサービスを始める。同社のIoT(モノのインターネット)技術基盤「ルマーダ」事業との相乗効果を狙っており、利活用を進めることで事業の収益拡大につなげていく。
15日会見したデジタルシステム&サービス統括本部の鮫嶋茂稔最高技術責任者(CTO)は、生成AIの利活用は生産性の向上だけでなく、プライバシーの保護といった安全性の担保など「両輪で進める」と強調した。
センターでは本業との兼任になるAI研究者など数十人規模の人員を中核に、250人程度のデータサイエンティストなどがそれを支える。さらに社内のエンジニアやセキュリティー、法務、知財など専門家の知見と融合。まず社内向けの業務利用ガイドラインを策定した上で、文章の生成・要約や翻訳、画像生成、ソースコード作成などを進め、日立グループ約32万人の業務改善に役立ててもらう。
さらにこれらの知見などを生かして生成AIをルマーダ事業に取り込み、顧客へのソリューションを提供することで差別化を図り、同事業の一層の拡大を狙っていく。また、米マイクロソフトの「アジュール・オープンAIサービス」と連携した環境構築や運用支援サービスも提供する。
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日刊工業新聞 2023年月5月16日