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IoT家電は“アプリ”で勝負、三菱電機・日立GLS…それぞれの戦略は?

IoT家電は“アプリ”で勝負、三菱電機・日立GLS…それぞれの戦略は?

冷蔵庫上部のカメラで庫内を撮影し、遠隔からアプリで確認できる

家電のIoT(モノのインターネット)化が進んでいる。消費者の食材買い忘れ防止や、離れて住む家族の見守りといった機能の実現につながるためだ。各メーカーはIoT対応製品を増やすとともに、関連アプリケーションの開発を進めてきた。ただアプリは製品ごとに存在し、対応製品が増えると入手すべきアプリも増え、使い勝手悪化につながりかねない。各社はアプリを統合する仕組みの提供など、利便性向上に知恵を絞る。(阿部未沙子)

三菱電機は、新たに電磁誘導加熱(IH)クッキングヒーターをIoTに対応する。2023年内の発売を見込み、スマートフォンのアプリなどから加熱温度や時間を設定できる。同製品以外では家庭用ヒートポンプ給湯機「エコキュート」や冷蔵庫などでIoT化が進み、製品ごとにアプリを用意する。

ただ、三菱電機リビング・デジタルメディア事業本部の朝日宣雄執行役員は「別々にアプリを開発すると、使い勝手が悪くなってしまう」と話す。同社では「My MU(マイエムユー)」というアプリが各製品のアプリを統合している。

日立グローバルライフソリューションズ(日立GLS、東京都港区)は、冷蔵庫や洗濯機、電子レンジなどがIoTに対応している。冷蔵庫の上部にカメラを搭載し、ドアを開けると自動で撮影する。撮影した画像を専用のアプリで確かめられる。

日立GLSも製品ごとに存在するアプリの統合に注力。アプリ「ハピネスアップ」の提供を1月に始めた。ハピネスアップにより複数のアプリを統合し、複数製品の運転状況が把握できるほか、各製品の取扱説明書を読んだり、修理依頼をしたりできる。

各社はアプリの統合以外に、付加価値の向上にも気を配る。米IT企業などが参加する無線通信規格標準化団体が、スマートホームの新規格「Matter(マター)1・0」を22年に発表したように、企業の連携を後押しする流れがある。

IHクッキングヒーターに対応したアプリから献立に応じた加熱温度の設定ができる

「顧客の囲い込みばかりやってもしょうがない」と三菱電機の朝日執行役員は話す。例えば顧客のデータを収集する際、複数の企業と連携することでより多くの顧客の要望を把握することができ、新たな解決策の提案が可能になると期待している。

また、日立GLSのホームソリューション事業部商品戦略本部コネクテッド開発推進部の森泰久部長は、連携について「顧客からのニーズがある」と認識する。居住空間にある家電のブランドは多様な場合が多いため、企業間の連携によるメリットが見込まれる。

例えばシャープはグループ会社のAIoTクラウド(東京都江東区)のサービスを用い、シグニファイジャパン(東京都品川区)の発光ダイオード(LED)照明機器との連携を始めた。こうした他社との連携の広がりは、家電の付加価値を高めるためのカギになり得る。


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日刊工業新聞 2023年03月30日

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