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膵臓がん薬の薬効低下の仕組み、近畿大が解明

膵臓がん薬の薬効低下の仕組み、近畿大が解明

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近畿大学の岡田斉主任教授らは1日、膵臓(すいぞう)がんの治療薬が効かなくなる仕組みを解明したと発表した。膵臓がんの標準治療薬「ゲムシタビン」が効かない原因が特定の酵素の機能低下であることが分かった。さらにこの膵臓がんの細胞ではがん遺伝子の機能と特定のアミノ酸をエネルギー源として利用する能力が高まり、これらの働きを抑える薬剤が治療に有効であることを示した。薬剤耐性を持つ膵臓がんの治療法の開発につながる。

全遺伝情報(ゲノム)を自在に変えられる技術「ゲノム編集」で、膵臓がん細胞の2万個の遺伝子を個別に壊し、ゲムシタビンに抵抗性を持つ原因となる遺伝子を調べた。デオキシリボ核酸(DNA)の構成成分にリン酸を付ける酵素「DCK」の機能低下が、ゲムシタビンが効かなくなる原因の一つであることを明らかにした。

さらにDCKの機能低下が、がん遺伝子の一つ「MYC」の機能と、アミノ酸の一つであるグルタミンをエネルギーとして使う能力を高めることを発見。これらの機能を抑える薬剤がゲムシタビンの効かなくなったがん細胞に有効であることを明らかにした。

検診や治療法の改善でがんが早期に治癒するケースが増えている。一方、膵臓がんは早期発見・治療が難しく、今後もがんで死亡する主な原因になると予想される。ゲムシタビンへの耐性を獲得するがん細胞の出現で治療効果が下がることが課題だった。

米がん学会誌モレキュラー・キャンサー・リサーチに1日掲載された。

日刊工業新聞 2023年月5月2日

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