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外部流出の可能性、企業のIT人材管理に懸念あり

情報処理推進機構(IPA)は24日、IT人材のスキルや労働移動の実態、企業の人材管理などの調査報告書を公開した。社内のIT人材を評価・把握する基準がないと回答した事業会社が8割を超えた。キャリア形成に影響を与えたり、スキルに応じて人材を適切に配置できなったりする可能性がある。人工知能(AI)などの活用に向け、企業でIT人材を確保する必要性が高まっているものの、社内の対応が追いついていない現状が浮き彫りになった。

社内のIT人材を評価・把握する基準

IPAは1897人への個人調査と、2017社への企業調査を踏まえた2022年度の調査報告書を公開した。

IT人材の評価基準の有無に関する質問では、回答した企業全体の7割近くが設けていないことが分かった。このうち事業会社の約8割は基準がなく、AIやデータサイエンスなどに詳しい人材を確保する観点からもスキルを適切に評価・把握する基準が必要といえそうだ。一方で、IT企業はほぼ半数が基準を設けていると回答した。

IPAはIT人材を従事する業務に応じて「先端IT」と「非先端IT」に分けて分析したところ、いずれも半数以上がキャリアの向上に前向きなことが分かった。これまでよりも高いレベルの職務や役割を望む傾向が強まりつつある。

報告書では対応を怠ってしまうと外部に流出する可能性を指摘した。企業にとってはIT人材のモチベーションを高める環境整備が求められそうだ。

日刊工業新聞 2023年月4月25日

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