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日本の製造業で初、オムロンがカーボンニュートラルへ踏み出した新たな一歩

日本の製造業で初、オムロンがカーボンニュートラルへ踏み出した新たな一歩

綾部工場で蓄積したエネルギー生産性向上のノウハウを、各工場へも展開していく

オムロンカーボンニュートラル温室効果ガス〈GHG〉排出量実質ゼロ)の実現に向け、新たな一歩を踏み出した。自社から排出されるGHGを、2024年度に16年度比53%減、30年度に同65%減という目標を掲げる中、22年11月には事業活動におけるエネルギー効率2倍を目指す国際企業連合「EP100」に加盟。日本の企業では4社目、製造業では初となる。

オムロンの独自指標「エネルギー生産性向上」の考え方イメージ(同社提供)

加盟にあたり、40年までに制御機器事業とヘルスケア事業の国内外全32拠点で、エネルギー消費量当たりの生産性を16年比2倍に高める計画だ。制御機器事業の綾部工場(京都府綾部市)では、エネルギー消費を抑えながら生産量を増やす独自指標「エネルギー生産性」向上の取り組みを進めている。

建屋全体から製造ライン、各装置までエネルギーの使用状況を見える化したのに加え、例えば製造ラインで前の工程で機械が止まっているのに後ろの工程で待機電力を消費しているといった無駄を改善するためのエネルギー管理などを行いながら、得意とする制御技術で生産性を上げる。

10年からの11年間で、生産ラインの消費電力を15%削減しつつ、工場出荷金額を35%向上させ、エネルギー生産性を1・6倍に高めた。このノウハウを制御機器事業の他工場や、ヘルスケア事業の工場へ展開していく。

国際組織には再生可能エネルギー100%を目指す「RE100」などもある。制御機器事業トップの辻永順太執行役員常務は「エネルギーだけ削減して生産量を変えないのは製造現場において本質ではない。当社が挑戦している現場のニーズと今の社会要請に合ったエネルギー生産性向上は、EP100の考え方にふさわしい」と狙いを説明する。

EP100への加盟はビジネスとしても広がりを見せる。辻永執行役員常務は「『加盟企業の当社で実演しているソリューションです』という風に提案すると相手の反応が全然違う。欧米の制御機器メンバーがとても喜んでいる」と話す。EP100加盟企業を“名刺”代わりに、環境問題の感度が高い欧米への事業展開も加速する。

日刊工業新聞 2023年03月14日

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