日立ハイテクが240億円投資、半導体製造装置の生産能力倍増
日立ハイテク(東京都港区、飯泉孝社長)は18日、山口県下松市に半導体製造装置を手がける新棟を建設すると発表した。2025年度の生産開始を目指す。将来の半導体需要拡大を見込み、シリコンウエハーに溝や穴を掘るエッチング装置の生産能力を現在の2倍に引き上げる。投資額は約240億円を見込む。
エッチング装置の設計や開発、製造を手がける笠戸地区(山口県下松市)に2つ目となる製造棟を新設する。製造棟は地上4階建てで、延べ床面積は約3万5000平方メートルを計画。24年1月に着工し、25年4月の竣工を予定する。生産ラインのデジタル化や自動化によりリードタイムの短縮を進めたり、開発製品の早期量産化を図るなどして、生産能力を現在の2倍に高める。
新製造棟ではソフトエッチング装置などを生産する。日立ハイテクによると、同社はウエハーのダメージを低く抑えながら微細回路を書き込めるソフトエッチング装置に強みがある。生産能力の増強で需要の取り込みを図る。
スマートフォン(スマホ)やデータセンターの記憶装置として使うフラッシュメモリーでは、容量拡大のために記憶素子を縦方向に積み上げる3次元化が進展。3次元メモリー向けの設備投資でエッチング装置の市場が拡大している。またゲートオールアラウンド(GAA)技術を使った次世代のロジック半導体は回路を書き込むエッチングの複雑さや工程数が増加するとされ、エッチング装置需要の伸びも期待できる。
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日刊工業新聞 2023年04月19日