3年連続で過去最高だった「半導体製造装置」販売高、23年はマイナス成長が余儀なくされる理由
日本半導体製造装置協会(SEAJ)は、2022年の半導体製造装置の世界販売額が前年比5%増の1076億4000万ドル(約14兆3000億円)になったと発表した。3年連続で過去最高を更新したが、前年比較での増加幅は21年の44%増から40ポイント近く縮小。メモリー半導体向けを中心に需要が鈍り、米国の対中輸出規制強化も響いた。影響は23年前半も続きそうで、半導体の国際団体SEMIでは23年の装置販売額が4年振りのマイナスになるとみる。
SEAJとSEMIが共同で集計した。22年の装置販売額を地域別では、日本や北米が前年比プラスとなる一方、韓国は前年比14%減の215億ドル(約2兆8600億円)で大きく落ち込んだ。スマートフォンなど最終需要が減退し、景気の減速懸念が高まる中、機器1台当たりの搭載量が多いメモリー半導体を中心に需給バランスが悪化。韓国の大手メモリー半導体メーカーが設備投資を絞り込んだ影響が出た。
最大市場の中国も282億ドル(約3兆7600億円)と同5%減少した。米国が22年10月に先端半導体技術の対中輸出規制を強化した結果、中国半導体企業の設備投資が先端向けを中心に滞った。
世界の半導体生産能力自体は右肩上がりが続く見通しで、半導体製造装置需要も中期では拡大が期待できる。ただメモリーメーカーの投資抑制は足元でも続いており、対中輸出規制でもオランダや日本が米国に足並みをそろえる方針のため、23年はマイナス成長を余儀なくされそうだ。
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日刊工業新聞 2023年04月14日