ニュースイッチ

三菱自動車が新小型SUVを生産、東南アジアけん引の戦略車に

三菱自動車が新小型SUVを生産、東南アジアけん引の戦略車に

三菱自の新小型SUVのコンセプト車「三菱エックスエフシーコンセプト」

三菱自動車は2023年秋にインドネシアで新たな小型スポーツ多目的車(SUV)を生産する。生産規模は年間約6万台。同国で生産する主力の多目的車(MPV)と車台(プラットフォーム)を共通化して量産効果を引き出す。タイやベトナムなどにも輸出する。主力の東南アジア市場ではこれまで小型SUVを展開しておらず、同地域のシェア拡大をけん引する戦略車に位置付ける。電動車モデルの設定や東南アジア以外の地域への展開も計画する。

西ジャワ州ブカシ県にある三菱商事などとの合弁会社の工場で生産する。主要な部品サプライヤーに生産計画を伝えた。

新たな小型SUVはミニバンタイプのMPV「エクスパンダー」と車台を共通化する。エクスパンダーの21年度の世界販売台数は約11万台で、同社全販売台数の約12%を占めた。主力車種との部品の共用などで生産を効率化し、価格競争力を高める。23年度にインドネシアなど東南アジア市場に順次投入する。

新小型SUVは22年にベトナムの展示会で発表したコンセプト車「三菱エックスエフシーコンセプト」がベース。東南アジア市場の顧客の車の好みの変化を意識して開発。都会に合う洗練された造形や広い室内空間を採用した。一方、荒れた路面やスコールによる冠水路でも安心して走行できるなど、SUVの完成度を高めた。

三菱自にとって東南アジア事業は営業利益や販売台数でそれぞれ約3割を占める主力市場。調査会社のマークラインズによると三菱自の22年のインドネシア、フィリピン、タイ、ベトナム、マレーシアの5カ国合計の新車販売台数は、前年比13%増の約27万台だった。タイ、インドネシア、ベトナムの主要3カ国の市場シェアは1ケタ台後半で3位または4位に位置する。

東南アジアでは中国の長城汽車や比亜迪(BYD)などが電気自動車(EV)を武器に市場を切り崩す動きもあり、三菱自は存在感を維持できるか正念場を迎えている。


【関連記事】 SUVでマツダ・スバルが頼りにする加工メーカー
日刊工業新聞 2023年04月19日

編集部のおすすめ